日本臨床外科学会雑誌
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症例
12歳女児に発症した乳腺偽血管腫様過形成の1例
林 沙貴野﨑 善成垣内 寿枝子寺畑 信太郎清原 薫
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2020 年 81 巻 11 号 p. 2171-2176

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抄録

若年発症の乳腺偽血管腫様過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia:PASH)の1例を経験したので報告する.症例は12歳の女児で,左乳房腫大を主訴に当科を受診した.マンモグラフィでは左乳房全体を占める境界明瞭な腫瘤を認め,乳房超音波検査では内部不均一の低エコーの腫瘤を認めた.乳房造影MRIではT2強調で内部不均一な高信号,T1強調で等信号,内部一部造影不良な腫瘤であった.針生検では筋線維芽細胞で裏打ちされたスリット状の裂隙構造が認められPASHが示唆されたため,腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的所見では葉状構造を示す間質増生部分と類臓器型線維腺腫様の像を示す部分が見られ,間質部分には腫瘍全体で広くPASHの像がみられたことから,葉状腫瘍様変化や線維腺腫様変化をきたしたPASHと診断した.免疫染色では,Vimentin(+),SMA(+),Desmin(-),CD34(+),CD31(-),D2-40(-),Factor VIII(-),PgR(-)であった.術後1年の時点で再発所見はなく,整容性も保たれている.

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