2020 年 81 巻 11 号 p. 2206-2211
症例は52歳,女性.人間ドックで施行されたCTで胸部異常所見を指摘され,当院を受診した.CTでは右胸腔内に石灰化を伴う充実性腫瘤を認めた.胸膜由来の腫瘍を疑い,診断と治療を兼ねた手術を施行した.術中所見では腫瘍を右肺下葉に認めた.腫瘍は横隔膜と癒着していたため,癒着を剥離して,胸腔鏡下右肺下葉部分切除術を施行した.病理組織所見では腫瘍は臓側胸膜固有層から発生しており,豊富な膠原線維を含み,砂粒体様の多数の円形石灰化を認めた.免疫染色ではvimentin陽性で,calcifying fibrous tumor(以下CFT)と診断した.今回,まれな臓側胸膜発生のCFTの1切除例を経験したので報告する.