日本臨床外科学会雑誌
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症例
肺容量減量手術の切除範囲に存在し切除できたCOPD IV期合併肺癌の1例
鈴村 雄治北村 将司
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2020 年 81 巻 11 号 p. 2212-2217

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抄録

症例は69歳,男性.当院呼吸器内科でCOPDの治療中,右肺上葉肺癌が疑われ当科へ紹介受診となった.初診時の肺機能検査でVC:1.70L,%VC:47.3%,FEV1.0:0.40L,%FEV1.0:14.0%でCOPD IV期であったが,肺は過膨張し気腫型であり,肺容量減量手術の効果が得られると判断し手術を施行した.術前呼吸リハビリテーション施行の後,全身麻酔下に胸腔鏡下右肺上葉部分切除術施行し小細胞肺癌と診断された.術後29日目に退院,術後6カ月の肺機能検査ではVC:2.43L,%VC:66.3%,FEV1.0:0.58L,%FEV1.0:20.0%と呼吸機能の改善を認めた.現在,在宅酸素の導入もなく,術後3年3カ月で再発の徴候も認めていない.COPD IV期の症例であっても,気腫型で肺癌病変が肺容量減量手術の切除範囲内にあれば手術可能であると考えられた.

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