日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療により脳転移切除後5年生存中の胃癌術後脳転移の1例
佐竹 霜一有上 貴明松下 大輔大久保 啓史石神 純也大塚 隆生
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キーワード: 胃癌, 脳転移, 集学的治療
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2020 年 81 巻 11 号 p. 2232-2237

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抄録

症例は45歳,男性.Human epidermal growth factor receptor 2陽性,cT3N3H1M1(LYM) stage IV Bの食道胃接合部癌と診断され,化学療法や放射線療法を行った後に噴門側胃切除術を施行した.病理組織診断ではypT3N0M0 stage II Bの診断であり,術後化学療法としてS-1+trastuzumabを開始したが,術後9カ月目に痙攣発作が出現し,精査にて右前頭葉の転移性脳腫瘍と診断された.脳神経外科にもコンサルトし,開頭腫瘍摘出術を施行した.術後脳腫瘍摘出腔に対し,ガンマナイフによる定位放射線手術療法を行った.その後は,再度S-1+trastuzumabによる化学療法を再開し,脳転移術後5年経過した現在も新たな再発なく生存中である.

胃癌脳転移症例では,多臓器転移を認めることも多く,その予後は極めて不良である.近年では手術や化学療法,放射線療法を含めた集学的な治療によって生存期間の延長が期待されており,若干の文献的考察を加えて報告する.

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