2020 年 81 巻 11 号 p. 2297-2302
症例は77歳,男性.突然の腹痛を主訴に当院を受診し,腹部CTにて横行結腸に壁肥厚と腸管外ガス像を認め,大腸穿孔の診断で同日緊急結腸右半切除術を施行した.病理結果はStage II大腸癌であった.術後汎血球減少を認め,骨髄異形成症候群が疑われた.第22病日に遅発性の腹膜炎のため再手術となり,さらにDICに対するダルテパリン治療の後に肝被膜下血腫をきたした.TAEを施行し保存的加療を施行したが,肝被膜下血腫は感染し腹腔内感染コントロールが困難であった他,気管支肺炎など複数部位で細菌培養の検出が見られ,敗血症が複合し,第72病日に最終的に死亡に至った.骨髄異形成症候群に合併した消化器癌の手術症例の報告は少なく,若干の文献的考察を加え報告する.