日本臨床外科学会雑誌
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症例
鑑別に苦慮し切除により診断に至った肝reactive lymphoid hyperplasiaの2例
中嶋 太極迫田 雅彦前之原 茂穂松木田 純香大塚 隆生
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2020 年 81 巻 11 号 p. 2303-2308

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抄録

症例1は50歳の女性で,検診目的の腹部超音波検査で肝S2に10mmの低エコー腫瘍を指摘された.画像検査に特徴的な所見を認めず鑑別に苦慮したが,FDG-PET検査で強い集積を認めたため悪性腫瘍も否定できないと考え,腹腔鏡下肝外側区域切除を施行した.症例2は40歳の女性で,右乳癌の術前精査で肝S2に20mmの腫瘍を指摘された.FDG-PET検査で強い集積を認めたため,当初は転移性肝腫瘍の診断で化学療法が施行されたが,治療経過から原発性肝腫瘍も否定できないと考え,腹腔鏡下肝外側区域切除を施行した.2例ともに病理組織学的検査で肝reactive lymphoid hyperplasia (RLH)と診断した.肝RLHの術前診断は困難であるが,FDG-PET検査で強い集積を認めた場合には肝RLHを念頭に置き,治療方針を検討する必要があると考えられた.

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