2020 年 81 巻 2 号 p. 292-296
症例は81歳,女性.高カリウム血症に対しポリスチレンスルホン酸ナトリウム(sodeium polystyrene sulufonate,以下SPS:製品名ケイキサレート®)を内服していた.SPSの内服から23日後,急激な腹痛が出現したため近医を受診し,急性腹症の診断で当科へ紹介された.腹部所見では下腹部全体に強い圧痛と筋性防御を認め,急性汎発性腹膜炎が疑われた.腹部CTで,S状結腸と上行結腸に多発する憩室を認め,腹腔内およびS状結腸間膜内に遊離ガス像と少量の腹水を認めた.ガストログラフィンによる注腸造影で,S状結腸から腸管外への漏出を認めた.S状結腸憩室穿孔の診断で,同日緊急手術を施行した.術中所見ではS状結腸に2箇所の仮性憩室の穿孔を認め,S状結腸切除術および人工肛門造設術を行った.術後の病理所見で,穿孔部の憩室壁にSPS結晶の沈着を認め,SPS服用がS状結腸憩室穿孔の発症に関与している可能性が示唆された.