2020 年 81 巻 3 号 p. 519-524
症例は69歳,男性.嘔気・腹満感に対して精査を施行したところ,狭窄を伴う下行結腸癌を認めた.経肛門イレウス管による減圧後に腹腔鏡下下行結腸切除術を施行した.術直後より腹満感が出現し,吻合部より口側結腸の著明な拡張と腸閉塞症状を認め,経鼻イレウス管挿入など保存的加療を施行したが改善を認めず,術後癒着性イレウスと考え術後23日目に手術を施行した.術中に器質的閉塞部は認めず,人工肛門造設術を施行した.再手術後に急性結腸偽性閉塞症(Acute Colonic Pseudo-Obstruction:以下ACPO)を疑い薬物加療施行するも胆嚢炎を併発し再度手術を要したが,その後,減圧および薬物治療にてイレウスは改善した.腹腔鏡下下行結腸切除術後にAPCOを発症した1例を経験した.APCOは開腹術後に起こった報告は散見されるが,腹腔鏡手術後に発症した症例は非常にまれである.近年,腹腔鏡手術が主流となってきており,このような報告は増えていくものと考えられる.