後腹膜腫瘍は稀な疾患ではあるが,消化器外科だけでなく,泌尿器科,整形外科,産婦人科などの多岐にわたる診療科で治療されている.後腹膜腫瘍の病態は組織像も含め複雑多岐にわたっているために,まとまった報告をすることが難しく,診断・治療・予後についてのエビデンスが十分とは言えない.特に本邦では肉腫を専門にする医師が少ないために,治療も各病院あるいは各診療科で個別に行われることが多い.今後は後腹膜腫瘍に関するデータを診療科あるいは施設横断的に集積し,この稀な疾患の病態を明らかにすることが重要である.そして,その結果を基に仮説を立てて前向き臨床研究を立案・実行すること,さらに臨床研究から得られた結果をエビデンスとして積み上げ,本邦における後腹膜腫瘍の診療ガイドラインを作成することが必要である.これらの取り組みが最終的に後腹膜腫瘍の治療を体系化し,この疾患の予後改善につながることを期待したい.