2020 年 81 巻 4 号 p. 657-663
傍腫瘍性神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome:PNS)の症候を呈し,全身検索で乳癌を認め,乳癌術後にPNSの症状の改善を認めた1例を報告する.症例は64歳,女性.両大腿部痛,その後増悪する両上肢振戦,複視,眼球運動障害,両下肢ミオクローヌスを認め,抗Ri抗体陽性が判明し傍腫瘍性神経症候群の一病型であるオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群と診断した.全身検索で右乳癌の診断を得て右Bt+SNを施行し,術後診断pT1cN0M0(浸潤性乳管癌,ER 100%,PgR 100%,HER2陰性,Ki-67 5%)で,術後anastrozole内服とした.術後1カ月で,眼振,複視,眼球運動制限が軽減した.その後,筋硬直が出現しstiff-person 症候群の診断となったが,baclofen髄注療法継続しADLは改善傾向である.乳癌の診断前後において多様な神経症状を呈した際には,傍神経性腫瘍症候群を鑑別の一つに考慮するべきである.