2020 年 81 巻 4 号 p. 709-713
症例は72歳,女性.意識障害を主訴に夜間に当院救急外来へ搬送された.採血上は炎症反応の上昇と代謝性アシドーシスを認めたが腹部所見は乏しく,腹部CTと合わせて大腸憩室炎による敗血症性ショックと診断した.カテコラミン使用下に翌朝まで経過観察を行ったが,改善に乏しく同日緊急手術を施行した.S状結腸から横行結腸左側までに広範囲の腸管壊死を認め,結腸広範切除および横行結腸人工肛門造設術を施行した.標本からS状結腸と下行結腸の2箇所の大腸憩室炎と,それぞれの口側の閉塞性大腸炎と診断した.大腸憩室炎による閉塞性大腸炎の報告はまれであるが,大腸憩室症の保有率の上昇などにより今後増加することが予想される.大腸憩室炎の患者を診察する際は,特に狭窄がある場合は閉塞性大腸炎の合併も念頭に置くことが重要である.