日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡下左副腎摘除術を行った膵体尾部欠損症合併左副腎腫瘍の1例
中川 陽史高野 学井田 英臣小川 敦司井上 昌也
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 7 号 p. 1402-1406

詳細
抄録

症例は64歳の男性で,増大傾向を認める左副腎腫瘍に対して手術目的で当科紹介となった.腹部造影 CT で左上腹部に50mm大の比較的境界明瞭な腫瘤を認めた.膵は頭部のみ描出され体尾部を認めず,膵体尾部欠損症と診断した.腹腔鏡下左副腎摘除術を計画するにあたり比較的大きな副腎腫瘍に対して通常側方到達法を選択するが,脾臓授動時に脾動静脈の屈曲による還流障害が生じる可能性を否定できず前方到達法を選択した.手術所見として副腎腫瘍の認識,視野確保および脾動静脈を含む周囲との剥離は比較的容易に遂行することが可能であった.膵体尾部欠損症合併左副腎腫瘍に対する腹腔鏡下手術の到達法として,腫瘍径が比較的大きい場合においても経腹的前方到達法は妥当であると考えられた.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top