2021 年 82 巻 1 号 p. 98-107
症例は66歳,男性.2018年6月,当院耳鼻科で鼻腔悪性黒色腫に対して切除手術を施行.その後,市内の大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科でフォローアップされた.2019年2月に後鼻孔に局所再発があり,内視鏡下副鼻腔手術を施行され,以後,術後補助化学療法としてnivolumabを合計18コース施行.2019年11月に咽頭後リンパ節の再発を認め,pembrolizumabを合計2コース施行後に,陽子線治療を施行.その後2020年5月に腹痛があり,また貧血の進行を認めたために6月に当院消化器内科を紹介.回腸末端から約100cm 口側の回腸腫瘍であり,術前内視鏡が到達できずに小腸悪性腫瘍の術前診断で,7月に腹腔鏡下回腸部分切除術+リンパ節郭清術を施行した.術後の病理診断で,悪性黒色腫の転移性小腸腫瘍の診断となった.術後経過は順調であり,外来にてpembrolizumabによる化学療法を再開継続治療中である.