日本臨床外科学会雑誌
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症例
顕微鏡的多発血管炎の発症と同時期に診断された早期胃癌の1例
原口 英里奈岩崎 寛智今村 裕亮安里 嗣晴山田 兼史横溝 博
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2021 年 82 巻 10 号 p. 1815-1819

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抄録

71歳,女性.1カ月持続する発熱を主訴に受診した.精査の結果,蛋白尿および尿潜血を認めたため腎生検を施行され,顕微鏡的多発血管炎と診断された.スクリーニング目的の上部消化管内視鏡検査で早期胃癌を指摘されたため,顕微鏡的多発血管炎の治療導入後にロボット支援下胃幽門側切除術を施行した.悪性疾患と顕微鏡的多発血管炎を含むantineutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)関連血管炎発症との関連を示唆する報告はあるものの,固形悪性腫瘍の合併は稀である.また,その多くが悪性腫瘍発症から血管炎発症までの期間が非常に長期であり,両疾患の関連についていまだ議論の余地がある.本症例では両疾患がほぼ同時期に診断されており,胃癌と血管炎発生の関連を考察する上で貴重な症例であると考えられる.

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