日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に診断し安全に手術を行った副交通胆管枝併存急性胆嚢炎の1例
山田 真規宮本 匠伊東 大輔安近 健太郎高村 通生徳家 敦夫
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2021 年 82 巻 10 号 p. 1905-1911

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抄録

症例は42歳,男性.心窩部痛を主訴に来院し,胆石性急性胆嚢炎の診断で経皮経肝胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD)を施行後に当科へ入院となった.術前の胆道造影検査で,胆嚢管と右肝管前区域枝を連絡する胆管様構造物およびそこから分岐する細い胆管を認めた.副交通胆管枝を伴う胆嚢炎の診断で,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.副交通胆管枝を温存するよう胆嚢管の切離ラインを定め胆嚢を摘出し,術中胆道造影検査で上記の走行異常を確認することで安全な手術が可能であった.胆管走行異常は多岐にわたるが,副交通胆管枝は非常に稀であり,かつ高度な炎症を伴う症例では術中胆管損傷のリスクが高まる.術前に診断し安全に腹腔鏡下手術を施行しえた副交通胆管枝併存急性胆嚢炎の1例を経験したので,文献的考察を交えて報告する.

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