2021 年 82 巻 2 号 p. 385-390
64歳,男性.残胃全摘(Roux-en-Y再建)術後.主訴は腹痛,嘔吐.腹部CTで,急性輸入脚閉塞症と診断.緊急手術時所見でY脚吻合部の捻転,十二指腸および輸入脚部空腸の著明な拡張,色調不良を認めた.術中もshock vitalが継続しており,腸管切除は妥当で無いと判断し,輸入脚の減圧術を施行した.第8および第14病日の造影CTで,輸入脚の造影効果および内腔の拡張の改善を認め,第22病日に内瘻化手術を行い,第43病日に退院.緊急手術時の所見で,Y脚吻合部で捻転が起こっていたこと,術前CT所見から,enteroenterostomy site defectにY脚吻合部よりやや口側のRoux脚が内ヘルニアを起こすことで捻転が起きた可能性があると考えられた.閉塞性腸炎が腸管虚血の主要因であったため,減圧術が奏効し救命出来たと考える.ショックを伴い一期的手術が困難な症例では,外瘻術を先行後,二期的手術を行う方針も考慮すべきと考える.