2021 年 82 巻 2 号 p. 391-394
外傷性十二指腸損傷に対する術式は,損傷部位やその程度,全身状態などにより判断に難渋することもある.症例は46歳の女性.自転車を運転中に転倒し,ハンドルにて腹部を打撲し救急外来を受診した.CTで外傷性十二指腸損傷の診断にて,同日緊急開腹術を行った.十二指腸下行脚の前壁および後壁に穿孔を認めた.穿孔部を縫合閉鎖したが十二指腸狭窄が考慮され,亜全胃温存十二指腸憩室化術を施行した.術後経過は良好で,術後第22病日に独歩退院となった.外傷性十二指腸損傷に対する術式として近年では損傷部を単純縫合閉鎖しする場合も増えているが,全身状態が安定し狭窄が考慮される症例に対しては十二指腸憩室化など付加手術も考慮される.今回,亜全胃を温存する縮小手術を施行し,現在まで特記すべき合併症は見られていない.複雑な損傷形態を伴った十二指腸損傷において,亜全胃温存十二指腸憩室化手術は選択肢の一つになると考えられる.