日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後癌性髄膜炎の3例
須田 健星野 澄人三吉 健太岩崎 謙一永川 裕一土田 明彦
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キーワード: 胃癌, 癌性髄膜炎, 嘔吐
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2021 年 82 巻 2 号 p. 379-384

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抄録

癌性髄膜炎は比較的まれな病態である.全癌患者の約4%に発症し,平均予後は約1カ月と極めて不良である.今回われわれは,胃癌術後に癌性髄膜炎を発症した3例を経験したので報告する.症例1:65歳,男性.幽門側胃切除術を施行(por,p-T4aN3bCY1M1 Stage IV).術後1年8カ月に嘔気,嘔吐,意識障害が出現し,頭部造影MRIで癌性髄膜炎と診断.入院24日後に永眠.症例2:60歳,男性.胃全摘術を施行(sig,p-T2N0M0 Stage I B).術後5年5カ月に嘔気,嘔吐が出現.頭部CTにて小脳転移を認め,造影MRIを施行したところ癌性髄膜炎と診断.入院14日後に永眠.症例3:73歳,男性.胃全摘術を施行(sig,p-T3N3bM0 Stage III B).術後4カ月に嘔気,嘔吐が出現.頭部CTで脳室拡大あり,髄液穿刺を施行し癌性髄膜炎と診断.入院10日後に永眠.癌性髄膜炎の確定診断には髄液検査が必須である.癌性髄膜炎は予後不良であるが,速やかな画像診断・髄液穿刺を施行することで早期診断が可能となる.適切な治療がQOLの向上にも繋がるため,術後嘔吐症には癌性髄膜炎も念頭に置くべきであると思われる.

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