2021 年 82 巻 3 号 p. 552-556
症例は76歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に救急搬送された.腹部CTで腹腔内膿瘍とそれに伴う腸閉塞を認め,CTガイド下膿瘍ドレナージにより軽快した.後日施行した腹部CT所見で魚骨穿孔による腹腔内膿瘍が疑われた.4カ月後に腹痛,発熱を主訴に当科外来を受診し,遺残する魚骨を原因とする膿瘍の再燃と診断した.魚骨摘出と穿孔部を含む腸管の部分切除術を目的に,腹腔鏡下手術を施行した.膿瘍内の魚骨を摘出し,穿孔部を含む腸管の部分切除術を施行した.その後再燃なく経過している.
魚骨穿孔例において魚骨を摘出せずに保存的加療で軽快した場合,遺残する魚骨に再度感染する可能性があり,原則的には魚骨の除去が必要と考えらえた.本症例では腹腔鏡下手術の拡大視効果により小さな魚骨も発見しやすく,かつ強い炎症を伴った術野でも精緻な手術操作が可能であったと考えられた.