2021 年 82 巻 4 号 p. 778-783
症例は83歳,男性.十二指腸水平脚~上部空腸に及ぶ悪性リンパ腫病変に対し,病巣部腸管切除術および消化管再建術を施行した.術後膵液瘻を合併し,術後9日目にドレーンから多量の血性排液を認めた.緊急血管造影検査では膵頭部の動脈アーケードに仮性動脈瘤形成が疑われたが,コイル塞栓は困難と判断し,活動性出血も認めなかったことから止血剤点滴による保存加療を開始した.術後15日目に再びドレーンから多量の血性排液を認め,再度血管造影検査を施行したところ,明らかな仮性動脈瘤形成を確認した.NBCAを用いて仮性動脈瘤を含む膵頭部動脈アーケードを選択的に塞栓し,良好な経過を得た.
本患者は高齢で,二度の仮性動脈瘤からの出血をきたし,膵液瘻を合併しており,再手術による止血は多くのリスクを伴うものと考えられた.コイル塞栓困難な全身状態不良症例において,NBCAによる止血治療は有力な治療選択肢となりうると考えられた.