日本臨床外科学会雑誌
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症例
食道切除を行い治療に難渋した急性壊死性食道炎による食道狭窄の1例
植野 広大海藤 章郎春木 茂男谷岡 利朗伊東 浩次滝口 典聡
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2021 年 82 巻 5 号 p. 873-878

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抄録

急性壊死性食道炎 (acute esophageal necrosis: AEN)は食道粘膜の黒色変化を特徴とする稀な疾患である.予後は良好だが,食道狭窄を合併し治療に難渋することがある.患者背景に糖尿病などの基礎疾患を有することが多く,食道狭窄に対する手術治療は周術期合併症を併発するリスクが高いためである.症例は糖尿病と脳梗塞の既往がある72歳の男性.上部消化管内視鏡検査で胸部中下部食道粘膜の黒色変化を認めAENと診断した.その後,食道粘膜の黒色変化は改善したが,著しい瘢痕化を伴う食道狭窄が出現した.内視鏡的バルーン拡張術 (endoscopic balloon dilation:EBD)などの内科的治療による改善は見込めないと判断し,右開胸開腹食道亜全摘術を行った.術後は再建胃管の部分的壊死に伴う縫合不全に対するドレナージ,吻合部狭窄に対する繰り返すEBDを行い,難渋したが治癒した.AENに食道狭窄を合併した場合は,早期からEBDなどの介入を行うことが検討されるべきである.

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