2021 年 82 巻 5 号 p. 914-919
症例は83歳,女性.前医にて血液検査で貧血,下部消化管内視鏡検査で上行結腸に複数の腫瘍性病変を指摘された.組織生検では悪性所見は指摘しえなかったが,腫瘍性出血による貧血,さらには腸閉塞が懸念されたため,手術目的で当院に転院となった.腹部造影CTでは上行結腸に壁肥厚を認め,腫瘤性病変を先進部とした腸重積をきたしていた.開腹手術を施行したところ,上行結腸に2型腫瘍,盲腸に1型腫瘍を認めた.病理組織学的所見にて,上行結腸高分化腺癌(pT3N1aM0,Ly1a,V0,pStage III b)と盲腸脱分化型脂肪肉腫(CDK4陽性,MDM2一部陽性)と診断した.
脂肪肉腫は四肢や後腹膜に発生することが多く,結腸が原発部位であることは稀である.今回,上行結腸癌に併発した盲腸原発脂肪肉腫の症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.