2021 年 82 巻 5 号 p. 908-913
症例は61歳,男性.検診にて便潜血検査陽性のため近医を受診し,下部消化管内視鏡検査にて盲腸から上行結腸に及ぶ円柱状の隆起性病変を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.腹部造影CTでは上記隆起性病変内に腸間膜と思われる血管を含む脂肪構造を認め,虫垂重積が疑われた.組織生検ではadenocarcinoma in adenomaの結果であった.腹部症状を認めなかったため,待機的に腹腔鏡下回盲部切除術を行う方針とした.術中所見では術前の診断通り,盲腸内に虫垂が重積していた.整復は困難であったため,予定通り腹腔鏡下回盲部切除術(D3郭清)を施行した.病理組織検査では虫垂根部を除く全周全長に管状腺腫を認め,一部にadenocarcinomaが混在していた.虫垂重積は比較的稀な疾患であり緊急手術の適応になり得るが,虫垂の虚血・壊死がなければ待機的に腹腔鏡下の手術も可能である.本症例につき文献的考察を加え報告する.