2021 年 82 巻 5 号 p. 925-931
症例は63歳,男性.DICで発症しS状結腸癌,多発骨転移,リンパ節転移,骨髄癌腫症の診断で内科に入院し,mFOLFOX6を行っていた.化学療法開始後22日目に右季肋部痛と吐血を認め,急性出血性胆嚢炎およびDICと診断し緊急手術を行った.胆嚢は壊死し,総胆管内は凝血塊で充満し,胆道鏡で肝内胆管から下部胆管にかけ瀰漫性に胆管粘膜の発赤とoozingを認め,胆管炎と診断した.胆摘後に総胆管内にCチューブ®を留置し手術を終えた.本症例は骨髄癌腫症による凝固異常を背景とし,急性出血性胆嚢炎を発症し,胆嚢内圧上昇による胆嚢壊死と凝血塊による閉塞性胆管炎を生じたと考えられた.術後,胆道出血は止血され,化学療法の再開が可能となった.骨髄癌腫症患者であっても,急性胆嚢炎発症直前のADLが比較的良好で,胆嚢摘出術後の化学療法再開で予後延長が期待できれば,胆嚢摘出術も治療の選択肢の一つとなり得ると考えられた.