日本臨床外科学会雑誌
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症例
癒着剥離術を行った被嚢性腹膜硬化症の1例
肌附 宏薮崎 紀充石山 聡治森 俊明廣田 政志横井 一樹
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2021 年 82 巻 5 号 p. 983-987

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抄録

症例は76歳,女性.慢性腎不全で11年前より連続携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis:CAPD)を導入し,5年前より血液透析(hemodialysis:HD)を併用していた.2カ月前に小腸イレウスの診断で保存的に加療している.今回,再度小腸イレウスの診断で入院となった.保存的加療で軽快し,退院したが,退院翌日に腹部症状が再燃し,下腹部に著明な圧痛と腹膜刺激徴候を認め,腹部造影CTで小腸イレウスと腹水貯留を認めた.小腸イレウス再発の診断で,緊急腸管癒着剥離術を施行した.術中所見は,骨盤内の小腸が白色被膜に包まれ,一塊となっており,被嚢性腹膜硬化症(encapsulating peritoneal sclerosis:EPS)に矛盾しない所見であった.腸管壊死を疑う所見は認めなかったため,腸管切除は行わず,被膜切除および腸管癒着剥離を行った.術後11日目で食事摂取を再開し,術後22日目に退院となった.退院後現在(術後約半年間)まで再発は認めておらず,またHDへ完全移行している.CAPD長期施行症例におけるイレウスではEPSを念頭に置いて診療にあたる必要がある.

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