2021 年 82 巻 6 号 p. 1098-1102
症例は5歳,男児.咳嗽と倦怠感を主訴に近医を受診し,胸部X線写真で両側胸水,左気胸,心嚢液貯留を認め当院に紹介となった.CTで両肺野に多発する結節影と右房内に腫瘤を認めた.両側胸腔,心嚢ドレナージの後,肺の組織生検を行い,血管肉腫の診断となった.多発肺転移を伴い生命予後は極めて不良と考えられた.化学療法開始後も左胸腔からの気漏は持続したため,在宅移行を目的とし,胸腔ドレーンを簡易型気胸ドレナージキットであるソラシックエッグ®(以下TE)へ変更した.以降も気漏は持続していたが肺虚脱の進行はなく,TEへ変更後14日目に退院となった.診断後約5カ月で現病の増悪により永眠したが,在宅を中心とした治療が行えた.TEによる外来気胸治療の報告は近年散見されるが,本症例のような幼児への使用例報告はない.非常に稀なケースであるが,難治性気胸に対する治療選択肢としてのTEの有用性について報告する.