2021 年 82 巻 6 号 p. 1103-1109
症例は56歳,女性.2009年11月,胸部下部に全周性3型病変を指摘され,生検で扁平上皮癌と診断.大動脈周囲リンパ節などの4群リンパ節転移を認め,cT3N4M0,cStage IV aと診断した.2009年12月から根治化学放射線治療(60Gy,FP療法)を施行し,さらにFP療法を2コース行った.2010年6月,FDG-PET CTで領域外リンパ節のFDGの集積は消失したが,原発巣の食道壁肥厚と同部へのFDGの集積を認め,根治化学放射線治療後の遺残病変と判断し,2010年7月に右開胸食道亜全摘胃管再建術を施行.CRT-pT2(MP),N0,M0,CRT-pStage IIAであった.2011年2月に肝S2・S3に18mmの単発の肝転移を認め,2011年5月に肝部分切除術を施行.術後補助療法は行わず経過観察とした.肝切除から9年再発なく経過している.今回,食道癌異時性肝転移の症例に対し肝切除を行い,長期生存中の症例を経験した.食道癌肝転移に対する肝切除は長期生存につながる可能性があり,集学的治療の選択肢として考慮すべきと考えられた.