2021 年 82 巻 6 号 p. 1237-1241
症例は51歳,男性.近医で左鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡手術を施行した.術中所見にて脂肪腫と診断し観察のみで手術を終了し,当科に紹介となった.画像所見では,後腹膜腔から内鼠径輪を経由し内腹斜筋前面に至るダンベル型に発育した境界明瞭な脂肪性腫瘤を認めた.脂肪肉腫の診断で腹腔鏡補助下腫瘍摘出術を施行し,病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.精索脂肪肉腫は稀であり,ダンベル型に発育した症例の報告は少ない.近年,後腹膜腫瘍に対する腹腔鏡下手術の報告が散見され,本症例では腫瘍の後腹膜部分の授動を腹腔鏡下に先行することで,安全にen blocな切除が可能となった.腫瘍局在によっては脂肪肉腫に対する腹腔鏡の併用は有用である.