日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後6年目に傍大動脈リンパ節転移をきたした胃粘膜内癌の1例
中尾 英一郎石田 善敬笹子 三津留倉橋 康典廣田 誠一篠原 尚
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2021 年 82 巻 7 号 p. 1334-1338

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抄録

症例は78歳の女性で,2008年に早期胃癌に対して幽門側胃切除,D2リンパ節郭清を実施した.病理診断は脈管浸潤やリンパ節転移のない,胃粘膜内にとどまる最大径40mmの低分化腺癌であった.術後5年間無再発で経過したが,6年3カ月後のCTで左副腎近傍に20mmの腫瘤が指摘された.内分泌学的検査から原発性アルドステロン症を疑い,後腹膜鏡下に摘出したが,病理検査で胃癌術後の傍大動脈リンパ節転移と診断された.2カ月後に同部に新たなリンパ節の再腫大を確認し,SOX療法6コース後に傍大動脈リンパ節郭清を実施した.郭清リンパ節に病理学的悪性所見は認めなかったが,その2年6カ月後に左鎖骨下リンパ節および卵巣転移が判明し,現在化学療法中である.胃粘膜内癌の晩期再発は極めて稀であるが,自験例のように脈管浸潤陰性であっても遠隔リンパ節に再発し得るため,再発を完全に除外せずに臨床的対応をすべきである.

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