2021 年 82 巻 7 号 p. 1327-1333
症例は65歳,女性.食思不振を主訴に近医を受診し,CEA高値のため精査目的に当院へ紹介となった.上部消化管内視鏡検査で胃体上部から胃角部にかけての4型進行胃癌を認めた.生検の結果,中~低分化腺癌であった.審査腹腔鏡にて腹腔洗浄細胞診陽性,腹膜播種を認め,cT4aN2M1(PER),cStage IVBと診断し,SOX療法(S-1+L-OHP)による化学療法を外来で5コース施行した.5コース施行後,原発巣およびリンパ節腫大は縮小し,再度審査腹腔鏡を施行にて腹膜播種および細胞診が陰転化しており,ycT4aN2M0H0P0CY0,ycStage IIIであったため,conversion手術を施行した.病理組織検査の結果,リンパ節は腫瘍成分が消失しており,原発巣も線維化を認めるのみで腫瘍細胞は認めず,組織学的効果判定はGrade3でpathological complete response(pCR)と判断した.術後経過は良好で,術後10カ月の現在,S-1内服を継続し厳重な経過観察を行っているが,腫瘍の再発を認めていない.