日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
広範な後腹膜気腫および縦隔気腫を呈したS状結腸異物穿孔の1例
都 鍾智田中 智子松田 恭典芦谷 博史新関 亮田中 賢一
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 7 号 p. 1386-1390

詳細
抄録

症例は77歳の女性.発熱,腹痛を主訴に救急外来へ搬送された.反跳痛や筋性防御は認めなかったが,採血で炎症反応が高値であり,CTで左側に広がる後腹膜気腫・縦隔気腫・皮下気腫を認めた.腹腔内遊離ガスは認めなかったが,結腸穿孔が否定できず,緊急手術を施行した.手術所見でS状結腸から遊離腹腔側に突出する異物を認め,下行結腸を外側から脱転し観察したが,他に明らかな穿通・穿孔部は認めなかった.後腹膜気腫を伴うS状結腸異物穿孔と診断し,穿孔部で双孔式S状結腸人工肛門を作成した.術後,内視鏡検査でS状結腸に縦走潰瘍瘢痕を認め,異物による同部の粘膜損傷から多様な気腫像を呈したと考えられた.

下部消化管穿孔において後腹膜気腫を伴うことは稀で,原因が異物による報告はまだない.今回腹腔内遊離ガスを伴わず,広範な後腹膜気腫および縦隔気腫をきたしたS状結腸異物穿孔の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top