2021 年 82 巻 8 号 p. 1513-1517
症例は66歳,男性.2009年2月の胸部CTで右肺S9末梢領域に0.3cm大の淡く小さなすりガラス型結節が存在したが,特に問題とされず経過観察はされなかった.その後2018年に不安定狭心症を発症,この際胸部CTを施行したところ,右肺S9の同一部位に1.1cm大の部分充実型結節を指摘された.詳細に比較読影し検討した結果,2009年の既存病変が増大し,かつ部分充実化をきたしたものと確認した.まず,狭心症治療を優先し循環機能が安定した後,肺腺癌を疑い手術を施行した.胸腔鏡下右肺下葉部分切除術を施行した.病理組織学診断は浸潤性粘液性腺癌であった.術前から既往症の危険因子を考慮し,消極的縮小手術の方針としており,右肺下葉切除術の追加は行わなかった.本症例は0.3cmのすりガラス型結節から10年という長い期間を経て浸潤癌となった1例で,小さなすりガラス型結節でも患者背景にも配慮し長期間の経過観察継続の必要性につき検討が望ましいということを示唆する教訓的な症例と考えられた.