2021 年 82 巻 8 号 p. 1518-1525
Heterotopic gastrointestinal gland polyp(HGGP)は消化管粘膜下層に嚢胞状に拡張した腺管の著しい増殖を特徴とし,粘膜下に膨張性に発育してポリープ状の形態を示す病変であり,HIPや過誤腫などと表現されている.今回われわれは,胃粘膜下腫瘍を疑い,切除した胃のHGGP(55mm)を経験したため報告する.症例は59歳,女性.半年前に黒色便と左季肋部痛を主訴に近医を受診し,精査にて胃粘膜下腫瘍を疑われ当院へ紹介となった.術前精査では確定診断に至らず,診断的治療目的に,腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.切除標本は,腫瘍径55×40×35mm,質量:32g,粘膜下に腺窩上皮で覆われ,粘液を含有した多房性嚢胞性病変を認めた.病理学的診断では,非腫瘍性の粘膜が内反性に陥入していた.内反した粘膜には腺管の拡張や腺窩上皮過形成を伴っており,HGGPと診断した.本邦報告例を含めて検討した結果,胃のHGGPの無茎性病変に対しては,全層切除を行うため局所切除術を選択する必要があると考えられた.