2021 年 82 巻 9 号 p. 1653-1657
気管支分岐異常を呈する2症例に対し,分離肺換気下の手術を経験したので報告する.いずれも気管から右肺上葉への気管支分岐異常である.症例1は57歳,男性.術前に気管支分岐異常を認識していなかった.胸腺嚢胞に対し,胸腔鏡下に経右胸腔での手術を試みたが気管支分岐異常のため,右肺の十分な虚脱が得られず,胸骨正中部分切開に移行して切除を行った.症例2は81歳,女性.右肺上葉の肺癌に対し,胸腔鏡下に上葉切除を施行した.上葉気管支切離に際しては奇静脈牽引など行い,通常より頭側で処理する必要があった.気管支分岐異常を有する症例の分離肺換気下手術においては術前にその存在を把握し,肺の虚脱不良や換気不全も想定し,手術に備える必要がある.