抄録
山梨県早川町雨畑地区には今日まで硯製作の伝統が継承されている。700年もの長きにわたって継承されてきた早川町雨畑地区の硯製作の伝統は、当該地域を特徴付ける文化として後世に伝えていくべきものである。しかし、当該地域における硯の生産は筆記用具の多様化などを要因として縮小を余儀なくされ、明治期には約90名もの職人を擁していたものの現在は高齢の職人が2名残るのみである。
そこで、筆者らは、新たな硯石活用の文化を展開することを目指し、硯製作の過程において廃棄されている副産物について、資源としての積極的な活用方法を考察した。
本研究は一物全体活用の観点より、硯製作における副産物を利活用し、地産地消を促すことのできる生活日用品を提案することを目的とする。調査対象地域として山梨県早川町雨畑地区を選定し、地域資源のひとつである硯製作に対する地域の人びとの関心を高め、地域の人びと自らがその伝統・技術を伝承していく契機づくりとして提案を行う。
地域の方々が用意に制作・使用できる生活日用品の一例として、ペンスタンド、CDスタンド、花瓶、ポーラータイ、大皿、カードスタンド等を制作した。