2022 年 83 巻 1 号 p. 117-122
症例は64歳の男性で,健診の便潜血陽性を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に浮腫状の狭窄を認め,内腔に腫瘤性病変を認めなかった.CTではS状結腸に,内部に気泡を含む低吸収性腫瘤を認めた.この腫瘤はMRIではT1強調画像で筋肉と等信号,T2強調画像で筋肉よりやや高信号,拡散強調像では高信号を呈し,FDG-PETではFDGの高集積を認めた.以上から,S状結腸癌を疑いS状結腸切除,D3郭清を施行した.病理組織学的にS状結腸に漿膜下層まで浸潤する粘液癌を認め(pT3,N0,M0,Stage II),憩室内に上皮内癌を認めたため憩室からの発生が示唆された.本邦における高齢化,生活習慣の変化を考慮すると,左側結腸の憩室症には癌化リスクに注意すべきである.