2022 年 83 巻 1 号 p. 24-28
症例は58歳,女性.3カ月前より右乳頭の皮疹を自覚し,前医皮膚科を受診した.右乳頭外側と右乳輪10時方向に米粒大の丘疹を認め,皮膚生検を施行したところadenocarcinomaと診断され当科に紹介となった.初診時,右乳頭に1.5cmの硬結を触知したが,マンモグラフィと乳房超音波検査では乳房内に病変は認めなかった.造影MRIでは右乳頭のみにfast-plateau patternの造影効果を認めた.遠隔転移は認めず,cT1cN0M0 cStage IAの乳頭部乳癌と診断した.乳頭・乳輪を含めた乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検を施行し,センチネルリンパ節は転移陰性であった.病理診断結果は,浸潤性小葉癌,浸潤径2cm,ly0,v0,ER score 3b,PgR score 3b,HER2 score 1,Ki-67:8%.腫瘍の主座は乳頭で,表皮内への浸潤は認めず,切除断端は陰性であった.術後は残存乳房照射を行い,その後アナストロゾールを投与した.現在術後10カ月で,再発なく経過している.