2022 年 83 巻 1 号 p. 46-51
症例は69歳,男性.S状結腸癌および肝転移の疑いに対し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術,二期的に肝切除術を施行した.病理所見で肝病変は肝血管腫の診断であった.最終診断はS状結腸癌(pT4a N0 M0)Stage IIb,脈管侵襲があり,術後補助化学療法としてカペシタビン内服を半年間施行した.術後2年半のCTで右肺S2に7mm大の孤発性小結節影を認めた.PET-CTで同部位に集積を認め,転移性肺癌が疑われ胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理所見では壊死性肉芽腫性病変および菌体を認め,肺クリプトコックス症の所見であり,転移は認めなかった.肺クリプトコックス症は多彩な画像所見を呈するため,時に原発性・転移性肺癌,炎症性腫瘤との鑑別が困難となり,手術による治療的診断も考慮される.しかしながら,もし本症例で結節が多発し切除不能と考えられた場合には,転移性肺癌として化学療法を選択していた可能性もある.示唆に富む症例と考えられ,若干の文献的考察を加え報告する.