2022 年 83 巻 1 号 p. 73-79
症例は58歳,男性.主訴は左胸部痛・呼吸苦.2013年に食道癌に対して胸腔鏡下食道亜全摘術,胸骨後胃管再建術を受けていた.2018年1月に気胸を発症しnonsteroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)の処方がされていたが,持続する胸痛のため2018年3月に当院外来を受診し,心タンポナーデの診断で入院となった.第2病日,経皮心嚢ドレナージを施行したところ,胃管心嚢瘻が疑われた.第9病日,上部消化管内視鏡検査にて胃管下部前・後壁に巨大潰瘍を認め,後壁側の潰瘍底は瘻孔を形成し,内部に心嚢ドレナージチューブが観察された.内視鏡的に瘻孔部へ経鼻瘻孔ドレナージを行い,胃管瘻を造設したのちに経腸栄養を行い,第58病日に退院となった.胃管潰瘍心嚢瘻は食道癌術後の致命的な合併症となりうるため,適切な対応が必要となる.食道癌術後再建胃管心嚢瘻に対して,経鼻胃管心嚢ドレナージと経腸栄養を行うことで保存的に治癒された症例は過去に報告がなく,文献的考察を加えて報告する.