2022 年 83 巻 1 号 p. 86-91
88歳,女性.腹痛,腹部膨満感の精査目的にCTを施行したところ,腹腔内free airを認めたため当院へ紹介搬送された.消化管穿孔の診断で緊急手術となり,術中所見で多発小腸穿孔を認め,回腸部分切除術を施行した.術後再穿孔または縫合不全による腹膜炎を発症し,術後9日目に死亡となった.術後の病理組織診断よりコレステロール結晶塞栓症による小腸穿孔の診断となった.コレステロール結晶塞栓症は大血管手術,血管内カテーテル操作や抗凝固療法などを誘因として発症することが多いとされる全身性微小塞栓症であるが,小腸穿孔を発症することは稀である.今回,明らかな誘因なくコレステロール結晶塞栓症により多発性小腸穿孔をきたした症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.