日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃瘻再造設後に発症した門脈ガス血症を伴う腸管気腫の1例
東本 昌之南曲 康多衣裴 勝彦小倉 修
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2022 年 83 巻 11 号 p. 1923-1929

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抄録

症例は85歳,女性.Alzheimer型痴呆症に伴う摂食障害のため,2020年3月に他院にてPEGを施行.汚損のため2021年10月に同医にて二度目の胃瘻チューブ交換後から腹痛が出現.胃瘻チューブ腹腔内誤挿入に伴う急性腹膜炎の診断で,当院を紹介受診.腹膜炎の兆候がなく,保存的加療にて改善.2021年11月にPEGを再施行した.可能な限り前回の瘻孔とは離れた位置でバンパー型胃瘻チューブをイントロデューサ変法にて留置した.術後5日目に熱発.肺炎を疑って同日CTを施行.胃,十二指腸および一部小腸の壁内に気腫と肝両葉に及ぶ門脈ガスを認めた.門脈ガスを伴う腸管気腫と診断.消化管壊死や穿孔は否定的と判断して保存的加療を開始した.術後9日目のCTでは気腫はほぼ消失.術後23日目に紹介医へ転院となる.

今回,保存的加療で治癒しえた胃瘻チューブ誤挿入後の胃瘻再造設後に発症した門脈ガス血症を伴う腸管気腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2022 日本臨床外科学会
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