2022 年 83 巻 11 号 p. 1955-1959
症例は71歳,男性.褐色尿を主訴に前医を受診し採血で黄疸を認め,腹部CTで遠位胆管癌と盲腸癌が疑われ,精査加療目的に当院紹介となった.生検で遠位胆管から腺癌,虫垂からは低異型度粘液性腫瘍を疑う病理診断であった.画像上,虫垂は移動盲腸に伴い臍周囲に位置し,上腸間膜動静脈や上部空腸に近接し,直接浸潤が疑われた.移動盲腸合併の進行虫垂癌と遠位胆管癌の重複癌として手術を施行した.手術所見では 盲腸は正中に偏移し,虫垂は回腸間膜背側の後腹膜を走行して十二指腸水平部に浸潤していた.虫垂腫瘍の十二指腸付着部は剥離せずに胆管,膵臓を切離し,最後に回腸・結腸を離断して,膵頭十二指腸と右半結腸を一塊に摘出した.移動盲腸に伴い十二指腸水平部に直接浸潤した進行虫垂癌に遠位胆管癌を併存した症例は極めて稀である.特に,膵頭領域癌に他臓器浸潤を伴う重複癌の根治切除では,腫瘍学的根治性を損なわない手順でen bloc切除を行うことが重要である.