2022 年 83 巻 12 号 p. 2074-2080
近年,口腔内常在菌であるStreptococcus anginosus groupによる肝膿瘍の報告が増加しており,下部のみならず上部消化管を含めた検索が重要視されている.68歳の女性が腰痛と40度台の発熱を主訴に来院した.精査で多発肝膿瘍と化膿性脊椎炎の診断となり,抗菌薬加療を開始した.下部および上部消化管内視鏡では異常所見はなかった.造影CTで小腸に造影効果を伴う不正な壁肥厚を認め,血液培養からStreptococcus intermediusが検出されたため,小腸病変からの細菌の侵入が示唆され小腸内視鏡を施行したが,病巣の確定には至らなかった.細菌の侵入門戸のコントロールおよび小腸腫瘍の診断のため,入院19日目に腹腔鏡下小腸部分切除を施行した.病理所見は海面状血管腫で腸管粘膜に縦走潰瘍を伴っており,侵入門戸として矛盾しないと考えられた.Streptococcus anginosus groupが起炎菌である場合,小腸を含めた全消化管検索が重要であると考える.