2022 年 83 巻 12 号 p. 2069-2073
症例は81歳,女性.腹痛を主訴に来院し,上腸間膜動脈(SMA)閉塞症と診断した.腹腔鏡下に腹腔内の観察を行い,術中所見で腸管温存が可能と判断し,観察のみにとどめた.その後,IVRによる血栓溶解療法を施行した.IVR後の造影CTではSMAの開存および腸管の造影効果は確認されたが,一部の小腸で著明な浮腫性変化を認めた.その後,頻回な水様下痢と腹痛,および低アルブミン血症が遷延した.虚血による障害を受けた腸管に伴う症状と考え再手術を行い,小腸約60cmを切除した.摘出した小腸は暗赤色に変化しており,病理学的には粘膜壊死を伴い,粘膜下層は浮腫状であった.再手術後は頻回な水様下痢と腹痛が消失し,血清アルブミン値も上昇した.SMA閉塞症に対する血栓溶解療法後に蛋白漏出性胃腸症をきたした報告例は稀である.小腸部分切除を施行したことで蛋白漏出性胃腸症の改善が得られた1例を経験したため,若干の考察を加え報告する.