2022 年 83 巻 2 号 p. 326-330
症例は80歳,男性.悪寒と上腹部痛を主訴に当院へ搬送され,門脈腫瘍栓・多発リンパ節転移を伴う進行胃癌,腫瘍の胆管圧排による急性胆管炎と診断された.根治切除は困難であると判断し,胆管炎治療後に化学療法を導入した.HER2陽性であり,Cape+OHP+T-mabを計13コース施行し,門脈腫瘍栓の消失,原発巣の著明な縮小を認めたため,D2郭清を伴う胃全摘術を施行した.病理組織学的所見はypT3 N2 (3/24) CY0 ypStage IIIA,化学療法の組織学的効果判定はGrade 1aであった.術後補助化学療法としてS-1を8カ月間内服し,現在術後36カ月無再発生存が得られている.