日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断に苦慮した直腸癌術後肝円索に発生したデスモイド腫瘍の1例
星 博勝長谷川 芙美松井 聡大畠 慶映伊東 浩次
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2022 年 83 巻 2 号 p. 371-375

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抄録

症例は67歳,男性.2017年,閉塞性下部進行直腸癌に対しS状結腸双孔式人工肛門造設術を施行した.術前化学放射線療法の後,直腸低位前方切除術,D3郭清,一時的回腸人工肛門造設術を施行した.術後病理診断はypT3,ypN0,ycM0,ypStage IIであった.術後補助化学療法としてUFT/LV内服を6カ月間施行した.2019年,CTで肝下面,胃体中部尾側に腫瘤影を認め,多発腹膜播種再発の診断となった.FOLFOX+panitumumabを計21コース施行し,約14カ月間腫瘤は縮小を維持していた.他に新たな病変の出現はなく,十分なinformed consentのもと2021年に回腸人工肛門閉鎖術,腹膜播種切除術を施行した.術後病理検査で胃体中部尾側の腫瘤は線維化を認めるのみであったが,肝下面の腫瘤は肝円索原発のデスモイド腫瘍であったことが判明した.大腸癌術後に発生したデスモイド腫瘍や肝円索原発のデスモイド腫瘍の報告は少なく,また術後の癌再発巣との鑑別が極めて困難であり,文献的考察を加えて報告する.

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