2022 年 83 巻 2 号 p. 376-381
症例は68歳,女性.脳孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)に対して他院で腫瘍摘出術を行い,9年後に肺転移を認め左肺下葉切除を行った.その後多発肝転移を認め,当科へ紹介となりTAE・RFAを行った.脳病変に対する初回手術から14年後のフォローアップのCTで直腸左側に径3cm大の腫瘤を認めた.脳・肺に再発を認めていたが,経時的に増大傾向であり,他病変より増大速度が速いことを考慮して,直腸閉塞リスク回避のため腹腔鏡下手術の方針となった.術中所見では,腫瘍は直腸間膜内にのみ存在し,直腸切除することなく十分なマージンを取って摘出することができた.病理組織学的検査により,SFTの転移性病変と診断された.SFTは胸膜より発生する間葉系腫瘍として報告されたが,近年では全身の至る所から発生すると報告されている.他臓器原発の直腸間膜内転移病変の症例の報告や,直腸間膜内の転移病変に対する切除例の報告はまだない.今回われわれは,脳原発SFTの直腸間膜内転移に対して腹腔鏡下に切除した症例を経験したため報告する.