2022 年 83 巻 2 号 p. 382-389
症例は41歳の女性で,1988年に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:以下,UCと略記)と診断され,近医で維持療法を行っていた.2016年に症状が増悪し,ステロイド治療を導入する目的で当院へ紹介となった.下部消化管内視鏡検査でRaに全周性の3型病変を認めた.UC関連直腸癌(colitic cancer)の診断で,腹腔鏡下大腸全摘・回腸嚢肛門吻合・回腸瘻造設術を施行した.病理組織学的診断は直腸印環細胞癌,pT3(SS)N2bM1a(LYM),pStage IV aであった.術後mFOLFOX6を12コース施行したが,術後1年目のCTで左卵巣腫大と回腸嚢周囲リンパ節腫脹を認めた.腹腔鏡下両側付属器切除・回腸嚢肛門切除を行い,直腸印環細胞癌の両側卵巣転移と回腸嚢腸間膜リンパ節転移と診断した.術後化学療法を施行したが,再手術後16カ月で腹膜播種再発をきたし,初回手術後39カ月で原病死した.