2022 年 83 巻 2 号 p. 409-414
症例は57歳,男性.2カ月ほどに渡って繰り返す腹痛を主訴に当院を受診し,精査の結果,膵動静脈奇形による膵体尾部急性膵炎と診断した.保存的加療により一度は症状が改善したものの,食事再開後に膵炎が悪化したため,動静脈奇形を含む膵体尾部切除を施行した.病理組織学的に不均一な壁肥厚を伴う異常な血管が集簇しており,膵動静脈奇形の所見であった.その周囲には線維化や脂肪壊死の所見があり,膵動静脈奇形の盗血による虚血が膵炎の主な原因と考えられた.術後は再燃なく経過している.近年は各種画像検査の普及,進歩により膵動静脈奇形の診断数は増加しているが,急性膵炎を合併した症例の外科的切除による治療報告は限られており,文献的考察を加えて報告する.