日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前化学療法で病理学的完全奏効が得られた切除可能境界膵体部癌の1例
伊良部 真一郎山本 博崇大月 寛郎鈴木 一史
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2022 年 83 巻 2 号 p. 415-421

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抄録

症例は74歳,男性.糖尿病で他院通院中に,HbA1cの急激な増悪を契機に施行した腹部超音波で膵体部腫瘍が指摘され,当院へ紹介となった.造影CTで脾動脈・腹腔動脈,および脾静脈浸潤を伴う最大径45mmの腫瘍を認め,超音波内視鏡下穿刺吸引法で低-中分化腺癌の診断となった.切除可能境界膵体部癌(BR-A)の診断で術前化学療法として,gemcitabine+nab-paxlitaxel療法2コースとS-1療法2コース施行した.化学療法後の効果判定は部分奏効で,術前に総肝動脈塞栓術施行後,腹腔動脈合併膵体尾部切除術を施行した.切除標本では術前画像で腫瘍を認めた部位には広範な線維化を認めるのみで,viableな癌細胞は指摘できず,病理学的完全奏効と判定された.術後1年8カ月で無再発生存中である.膵癌で術前化学療法により病理学的完全奏効が得られることは稀であり,文献的考察を加え報告する.

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